
予防歯科
歯には食べること以外にもさまざまな働きがあります。
・高さを保持することで舌の安定するスペースをつくることで正しい嚥下や安定した鼻呼吸につながります。舌のスペースがないと舌は後方でのどを圧迫するため正常な鼻呼吸ができなくなり、口呼吸や睡眠時無呼吸などをひきおこします。
・また、舌の位置とも関連しますが、歯ぎしりや歯の欠損により姿勢は前傾姿勢、ストレートネックになり、からだ全体の姿勢にもおおいに関係してきます。
鼻呼吸
安静時では口唇は閉じて歯と歯は軽く開いており、舌は口蓋に接するかどうかの位置にあります
嚥下
飲み込むときは舌の先が上の歯の裏側あたりに接するのが正しい舌の使い方舌で陰圧をつくり食道へ食べたものを運びます
歯科における保険治療はむし歯治療と歯周病治療に重点が置かれ、どうしても歯並びや歯ぎしりに起因する呼吸や姿勢の評価、それに伴う全身の健康へのフィードバックがおろそかになります。
歯科で扱う大きな分野としてはむし歯治療や歯周病治療といった感染除去の側面とかみ合わせ歯並び、歯ぎしりといったいわば力の側面に分けられます。力はなかなか視覚的にも理解しにくく、痛みや違和感がでなければ自覚しにくいものです。
歯科医院での定期的な検診やセルフケアももちろん大切ですが、かみ合わせや歯並びの変化、歯ぎしりといった力の側面をコントロールしていくことも大切であると考えます。
予防歯科とは自分の歯を長くもたせるようにすること
噛むには
こんなことありませんか?
いま自覚症状なく噛めているのはまだ歯があって、筋肉や神経や顎関節が元気なのでどこかが代償として働いているから
オーバーワークにより時間とともに症状がでてくる
健康な歯を長く保つため
予防歯科は、日常の歯磨きや定期的な歯科検診を通じて、むし歯や歯周病を早期に発見し、治療を最小限に抑えることができます。これにより、歯を健康に保ち、自然な歯をできる限り長く維持することが可能です。
治療のコストと負担を減らすため
むし歯や歯周病が進行してから治療を受けると、治療にかかる費用や時間が大幅に増えてしまいます。予防歯科を実践することで、将来的な高額な治療費を回避でき、身体的・経済的負担を軽減できます。
全身の健康を守るため
口腔内の健康は全身の健康と密接に関わっています。歯周病が進行すると、心臓病や糖尿病、肺炎などの全身疾患のリスクが高まることが知られています。予防歯科によって口腔内の炎症を防ぐことで、これらのリスクも減少させることができます。
歯の喪失を防ぐため
歯周病は歯を支える骨を破壊し、最終的には歯の喪失につながります。予防歯科によって、歯茎の健康を維持することが、歯を失うリスクを大幅に下げる重要な手段となります。
口臭を予防するため
歯周病や口内の細菌の増殖は、口臭の原因になります。予防歯科で定期的にクリーニングを行うことで、口腔内の衛生状態を保ち、口臭を防ぐことができます。
生活の質を向上させるため
歯の痛みや噛む力の低下は、食事を楽しむことや日常生活に影響を与えます。予防歯科に取り組むことで、快適に食事ができ、より質の高い生活を送ることが可能になります。
歯並びやかみ合わせを守るため
早期に問題を発見することで、歯列の乱れやかみ合わせの異常を改善することができます。予防的な治療によって、成長に伴う歯のトラブルも未然に防ぐことができます。
予防歯科とは、むし歯になってから治療するのではなく「痛くなる前に予防する」という考え方です。そのためには、歯科医院でのプロフェッショナルケアと、自宅で行うセルフケアの両方が大切です。
セルフケアだけでは、歯垢や歯石を完全に取り除くことができません。
歯科医院で、定期的にPMTC(プロフェッショナルケア)や口腔内診査などの検診を受け、むし歯や歯周病にならない健康な歯を維持していきましょう。
天然のハーブ由来のはみがきジェルでお口の細菌バランスを整えます。
口臭やむし歯、歯周病の方にオススメです。朝起きた時の口腔内のネバネバ感が全然違う!
スッキリさっぱり!添加物に配慮しているのでお子様にも安心。
身体に使うものだから、毎日使うものだから
安心できるものを使おう!
骨や歯の65%を占めるハイドロキシアパタイトを12%も配合しており、細かい歯の損傷を修復し、白くて美しい輝きを放つ歯にしてくれます。
健康や環境に及ぼす影響を考慮し、フッ素やマイクロビーズ(マイクロプラスチック)、プロピレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、サッカリンナトリウムは使用していません。
従来のメインテナンスの考え方は歯石や着色の除去が中心でした。
しかし、歯周病やむし歯は歯の表面に付着したバイオフィルムによる感染症であることがわかってきました。
GBTとはGuided Biofilm Therapy(誘導的バイオフィルム療法)の略で、お口の中の細菌が作り出すバイオフィルムに着目した口腔内のメインテナンス法です。染色液でバイオフィルムを可視化して施術を行っていく方法で、今までのようにバイオフィルムが可視化されない中で器具が歯面などに触れることを減らし、歯のエナメル質・象牙質や歯茎などの歯周組織をできるだけ傷つけることなく汚れを除去することができます。
また、微細な専用のパウダーを歯面に噴射することでハンドモーターでは取り切れない細かい部分まで清掃することができるため、短時間で効率よくバイオフィルムおよび軽度の歯石を除去でき、患者さまへの負担を大幅に軽減します。
今までの歯石取りに痛みを感じていた方にもおすすめです。
歯面がツルツルになり汚れの再付着が軽減され、より長く効果が持続します。
before
after
オーラルフレイルとは、『口腔の(オーラル)』と『フレイル(虚弱)』という2つの言葉を掛け合わせた言葉で、『口を介して起こる体の衰え』のことを意味します。
口腔機能が衰えると全身のフレイル(虚弱)につながるという考えで、老化のはじまりを示す重要なサインとして近年注目されています。オーラルフレイルをそのまま放置してしまうと、要介護状態となるリスクが上がるといわれています。
お口の機能の低下というと若いうちは関係ないと思われている方が大半だと思いますが、近年、歯並びが原因のひとつとして口呼吸のお子さまがふえています。本来、免疫の観点、感染症の予防の観点からも鼻呼吸が重要であるのですが、口呼吸により姿勢は前かがみになり舌や唇は本来の機能を果たすことなく、また食事の多様化によって噛むことに関係する筋肉もうまく機能していないということも多くみられます。
つまり、老化による機能低下とは別に、近年の小児、成人においてはそもそもうまく筋肉やかみ合わせが発達していない方が多くみられます。
当院ではマイオブレースといった装置をご使用いただき、お口の筋機能低下を予防することをおすすめしております。しかし、何よりも大切なのは日々の食事におけるより自然なお口の機能の維持です!
そのためには、①感染の予防②力のコントロールが大切で時にはかみ合わせ治療やインプラント、矯正治療といったアプローチが必要なときもあります。
むし歯や歯周病はさまざまな全身の病気に大きく影響しており、近年メタボリックシンドロームとの関連もよく取り上げられています。メタボリックシンドロームとは、内臓のまわりに脂肪が過剰に蓄積した状態です。内臓脂肪型肥満と高血圧・脂質異常症・高血糖のいずれか2つ以上を併せもった状態をメタボリックシンドロームと診断され過食や運動不足等の生活習慣が原因とされています。
メタボリックシンドロームになるまでのプロセスを表しているのが「メタボリックドミノ」です。メタボリックドミノのはじめの1枚目が倒されると糖尿病や脳卒中、心不全などのリスクが高まります。歯科で治療、予防するむし歯や歯周病は図のようにメタボリックドミノのスタート地点に位置すると言われています。
メタボリックドミノの最初の1枚が倒れないようにすることが大切といえますね。
わたしたちの腸で吸収されたものは、肝臓で蓄えられ、細胞で代謝され、排出されます。排出する方法には尿や汗がありますが、実は、お口から出ている唾液も体外へ排出されているのです。
現代では食生活において急激に血糖値を上げる食品が増えています。
たとえば玄米は白米に比べて食物繊維も豊富でミネラルやビタミンも含んでおり血糖値の上昇を抑え、腸内環境を整えるはたらきもあります。また本来なら自然由来の作物から摂取する糖質も白砂糖などの精製糖が日常的に使われるようになったため、短時間で急激に血糖値を上昇させてしまいます。
インスリン抵抗性とは、急激な血糖値の上昇に対して、過剰なインスリンが分泌されたため、細胞のインスリンに対する感受性が低下することをいいます。現代においては血糖値の上昇、インスリンの過剰分泌による急激な血糖値の低下が短期間で起こっており、食べてもすぐ空腹を感じるという悪循環に陥っています。これをグルコーススパイクといいます。糖尿病と診断されていない方でもこのグルコーススパイクが出現することが知られています。
インスリン抵抗性とはインスリンが効きにくくなる状態
グルコーススパイク
血糖値を上げるホルモンはいくつかありますが、血糖値を下げるホルモンは膵臓から分泌されるインスリンのみです。本来、野生の生物においては飢餓状態が多く血糖値を上げて生命を維持する必要こそあれ、血糖値を下げる機会はあまりありません。
インスリンの過剰分泌により今度は低血糖状態となると交感神経が働いて血管を収縮させ、お口の唾液は水分の少ない粘性の高いものとなります。
唾液の粘性が高くなると自浄作用や緩衝作用に影響し、プラーク付着しやすくなりまた、再石灰化もしにくくなります。
お口でよく噛んで、ゆっくり食事すること、また糖質の高い食物の食べ方を見直すことが、急激な血糖値の上昇をおさえ、またむし歯リスクを下げることにもなります。
不規則な食生活は、血糖値の上下を引き起こすとともに交感神経、副交感神経が交互に入れ替わり、自律神経の乱れにもつながります。
結果として唾液の性状に影響を与え、むし歯や歯周病のみならず、口内炎や口の渇き、口臭などの原因にもなります。
インスリン抵抗性の状態になると・・・
高血糖の状態の唾液は糖質を多く含む水分のすくないネバネバした唾液。
自浄作用の少ない脱灰が進みやすい環境となります。
いろいろな考え方があるかと思いますが、やはり食べるということは、からだに入れるものなのでからだの健康に直結するということ。近年、糖質に偏った食事や膨大な添加物やレトルト時短料理、孤食などさまざまな問題が指摘されています。食べ物がどうやって育てられて、どのように調理されてわたしたちのお口からからだにはいるのか。
作物をそだてるのもよし、料理に興味をもつのもよし、栄養について学ぶのもよし、好き嫌いをなくすのもよし、みんなで楽しく食事会をするのもよし。
とにかく、無関心にならずあたりまえと思わず、食に興味をもつこと。
当院では、食事と健康へのアドバイスもご希望があればおこなっております。
横にスクロールできます。
1.歯の表面をなめらかに |
自宅でできるセルフケア ・ハイドロキシアパタイトを配合した歯磨きジェルで歯の石灰化をうながす |
プロフェッショナルケア エアーフローを使用し、歯の表面をなめらかにし、着色や歯垢の付きにくい歯に |
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2.歯垢を残さず落とす |
自宅でできるセルフケア ・歯ブラシで歯の一本一本を丁寧に磨く ・デンタルフロスを使って隙間の歯垢を取り除く ・からだにやさしいジェルタイプで時間をかけてブラッシングする |
プロフェッショナルケア ・スケーリング…スケーラーという器具で歯石を取り除きます。 ・PMTC…セルフケアでは落としきれていない歯垢を専用機器で落とします。 ・歯みがき指導…ひとりひとりに合った歯みがきの仕方をお教えします。 |
3.細菌のバランスをととのえる |
自宅でできるセルフケア ・デンタルリンスなどは殺菌作用があり、歯や歯ぐきも傷みやすい。 ・歯垢除去したうえで、乳酸菌などを定期的に摂取することで細菌のバランスをととのえる |
プロフェッショナルケア ・口腔内診査…歯や歯ぐきの状態をチェック。口内細菌の数も調べます。 ・シーラント…歯垢が残りやすい歯の隙間を樹脂でふさいでむし歯予防。 |
4. 食生活を見直す |
食生活と腸内細菌のバランスは全身の健康に影響し、唾液の質にも影響します。食生活を見直し、食物繊維・ミネラルをしっかりとりましょう。お水を普段からしっかり飲むことも大切です。 |